日本の道路整備は、大正9年に実施された我が国初の長期計画となる第1次道路改良計画からはじまりました。 しかし、戦争等によって中断されてスムーズに計画が遂行されず、その後、本格的な近代道路整備の時代となったのは、昭和28年に「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」が制定され、 翌29年の第1次道路整備計画からで、以来、これに基づいて平成14年度まで、12次にわたる道路整備五箇年計画が実施され、平成15年度からは九つの分野の長期計画を一本化した、 新たな社会資本整備重点計画により、重点的かつ効率的な整備が推進されました。この間、揮発油税等は「道路整備費の財源等の特例に関する法律」により、引き続いて道路特定財源として道路整備に充当されました。
ところが、平成13年に始まった小泉内閣の構造改革に端を発し、福田内閣では、平成20年5月に「道路特定財源等に関する基本方針」が閣議決定され、以降、今後の道路整備のあり方を巡って様々な議論がされたところですが、 昭和28年に創設された道路特定財源制度が55年を経過し平成21年度から廃止され、道路特定財源が一般財源化されるなど、道路整備にとって大きな転換期を迎えることとなりました。
しかしながら、全国からの道路整備に対する要望は依然として強いものがあります。今こそ、あらためて道路と言うインフラが生活の基盤・国土の基盤であることを確認する時でもあります。 通勤・通学時の安心、食品・衣料品の安定的な輸送、救急医療に関する安心、観光や地域産業による活性化、国際競争力の向上など、これからの日本に求められていることは数限りなくあります。 こうしたものを現実化していく最も重要なインフラが道路であると考えます。日頃から国民、道路利用者、自動車利用者、行政とが対話を深めて、国は真摯に「地域の声」を聞き、ニーズを的確に把握して、 丁寧に「納税者の理解」を得て、速やかに「利用者の要望」に応える道路整備に取り組むことが必要であると考えます「今後の道路に求められるものは何か」、「今後の道路整備のあり方はどうあるべきか」を忘れることなく、 道路整備に反映させていくことが、我々全国道路利用者会議の大きな使命であると考えています。
道路特定財源制度は、昭和29年度より、ガソリンにかかる揮発油税が道路整備の特定財源とされたことに始まります。
その後、自動車は急速に普及し、私たちの社会を支える重要な一部として組み込まれるとともに、道路整備の重要性はさらに高まりました。
このような背景の下、道路整備のための財源として道路特定財源諸税は創設・拡充されてきました。
昭和28年 | 「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」が制定され、揮発油税を道路整備のための特定財源とする |
昭和29年 | 揮発油税を特定財源として第1次道路整備五箇年計画が発足 |
昭和30年 | 地方道路譲与税を創設 |
昭和31年 | 軽油引取税を創設 |
昭和33年 | 「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」を廃止し、「道路整備緊急措置法」を施行 「道路整備特別会計」設置 |
昭和41年 | 石油ガス税を創設 石油ガス譲与税を創設 |
昭和43年 | 自動車取得税を創設 |
昭和46年 | 自動車重量税を創設 自動車重量譲与税を創設 |
平成15年 | 「道路整備緊急措置法」を「道路整備費の財源等の特例に関する法律」に改正 道路整備五箇年計画を社会資本整備重点計画に統合 |
平成20年 | 「道路整備費の財源等の特例に関する法律」を「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に改正 |
平成21年 | 「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案」により、平成21年度から道路特定財源はすべて一般財源化 |
道路特定財源の一般財源化に際し、地方からの要望も踏まえ、特定財源制度を前提とした地方道路整備臨時交付金に代わるものとして、地域の活力の基盤の創造に資するよう、道路を中心に関連する他のインフラ整備やソフト事業も対象とした新たな交付金制度を創設